高血圧の原因

高血圧は、取り立てて自覚症状が無いのに、いつのまにか重症化するため「サイレントキラー」とも呼ばれる、日本人にとっては最も罹患率の高い病気です。

 

60代以上の方では、2人に1人が高血圧であるというデータもあり、放置しておけば、動脈硬化心筋梗塞などの循環器系の障害や、脳卒中等の脳血管障害にかかる危険性が高くなります。

 

近年では自宅にコンパクトな血圧測定器を置かれている方も多いと思いますが、この病気の予防に最も大切なのは、普段から自分の血圧がどの程度なのかを把握するということと、高血圧は何故起こるかという、その原因を正しく認識し理解することに尽きます。

 

このページでは、高血圧のメカニズム原因について分かりやすく解説していきます。

 

血圧のメカニズム

心臓から勢いよく送り出された血液は、血管を通りからだのすみずみまで届けられます。この時、血液は血管を拡張させることになります。その圧力のことを“血圧”と呼びます。心臓が収縮し、さあ血液を送り出すぞ〜と最も血管に圧力がかかっている時の血圧を「上の血圧=最高血圧」、心臓が拡張し血液をためているときの血圧を「下の血圧=最低血圧」といい、そのどちらの血圧でも、標準の血圧値より高い場合に高血圧と診断されます。

 

血圧の標準値

最高血圧が130mmHg(ミリエイチジー=圧力の単位)未満で、最低血圧が85mmHg未満正常血圧、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上高血圧、そしてその両者の中間の血圧が、境界域高血圧とされています。ただし、最新の日本人間ドック学会と健康保険組合連合会の見解によれば、正常血圧の基準値は、上下が147/94mmHgとするという報告もあり、標準値に関しては今後の議論が待たれるところとなっているようです。
※日本血圧協会では、現在も140/90mmHg以上を高血圧としています。

 

血圧は変動する

運動をすれば当然血圧は上がります。特に筋力トレーニングなどような負荷運動や全力疾走するような激しい運動をすれば、脈拍と共に血圧は急激に上昇します。また、極度に緊張した時のような心理的な要因でも血圧は意外なほど上がります。一日のうちでも、日中は比較的血圧は高く、夜になるにしたがって下降していきます。これには自律神経が関係しており、交感神経が活発に働く昼間には血圧は高くなり、副交感神経が優勢になる夜や睡眠時には血圧は低くなります。このように血圧は常に変動しているものですので、自宅で血圧を測るようなときには、10分から15分程度安静にしゆったりとリラックスした状態で計るようにしてください。

 

高血圧の原因

 

高血圧には【二次性高血圧】【本態性高血圧】の2種類があります。【二次性高血圧】の場合は、先天性の大動脈狭窄症や腎血管性のものなどいくつかの原因がありますが、日本人の場合この【二次性高血圧】は全体の10%に満たない程度と少なく、しかも手術などによる快復率も高いといわれています。

 

それに対して、【本態性高血圧】は、少し厄介な高血圧です。それと言うのも、この【本態性高血圧】は、日本人の高血圧患者の大部分を占めているにもかかわらず、原因がよくわからないからです。よく高血圧は遺伝すると言われています。確かに、両親が高血圧の場合の子供への遺伝の確率は60%とも報告されていますので、その要素は否定できないわけですが、ただし、仮に高血圧が遺伝するとしても、食生活ストレス血管の老化などの環境因子も原因となると最近の研究ではわかりつつありますので、日常生活の習慣を変えることで、高血圧のリスクを回避することも十分に可能なのです。

 

塩分(ナトリウム)の摂りすぎ

病院で高血圧と診断されると、まず減塩を薦められますよね。では、塩分は何故血圧を上げるのでしょうか?
塩分(ナトリウム)は人間の体には必要不可欠な成分ですが、この塩分を過剰に摂取すると、当然体の中の血液や体液の塩分濃度が高くなります。人間の体はナトリウムの濃度を一定に保つという働きがありますので、その際には腎臓が頑張って塩分を尿と一緒に体外へ排出しようとします。しかし、あまりに塩分濃度が高すぎると体は血液中に水分を取り込もうとして、結果血液の量が増大することにより、血管に余計な圧力が加わることで血圧が上がってしまうのです。

※ただし、この塩分(ナトリウム)を摂りすぎても、血圧になんら変化のない方もいます。そういう人を【食塩非感受性】と呼び、日本人の高血圧患者さんでは、実に半数以上の方がこの【食塩非感受性】だといわれています。

 

ストレス

緊張恐怖など一時的なストレスでも血圧は上がりますが、そのストレスが常態化している場合には、血圧も同じように高い値で常態化するといわれています。現代社会にはストレス要因が溢れかえっています。職場での人間関係や将来への不安、失敗や挫折、後悔や絶望など、日常生活で感じるストレスのすべてが高血圧の端緒となりえるのです。

 

運動不足

スポーツ選手は常に体を動かしているため高血圧は少ないかといえば、意外にそうではありません。持久力を競うようなスポーツ選手には高血圧症は少ないそうですが、主に力を使うスポーツ、陸上競技で言えば、円盤投げやハンマー投げ。あと格闘技などの選手は高血圧症にかかる率が一般人より多いそうです。ただしこれはスポーツ選手の話で、私達のような普通人はやはり運動不足が高血圧の大敵となります。運動をしないと全身の機能低下を起こし、血行やリンパの流れも悪くなり、体の循環作用が滞ります。また、運動不足による動脈硬化は血管の老化を早め高血圧を引き起こすことになります。

 

肥満

肥満、特に内臓脂肪が溜まるタイプの肥満は用心が必要です。内臓に脂肪が蓄積すると血糖値が上がったり血管が収縮したりします。血管が収縮すれば心臓は大きな圧力をかけて血液を循環させなければなりません。当然血液量が増大し血圧は上昇します。もちろん、内臓脂肪が溜まった原因の主な理由は食べすぎによるものですので、大食すれば塩分摂取も増えることになり、二重の意味で高血圧の原因となってしまうのです。

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