自律神経失調症の原因とは?

 

近年増加傾向にあるといわれる自律神経失調症ですが、このページでは、その自律神経失調症の原因について、分かりやすく解説していきたいと思います。

 

自律神経失調症の原因

 

まず、自律神経とはいったい何でしょうか?

 

私達の手や足、首や、体全体などは自分の意識で動かせますよね。ですが、心臓などの内臓や、血圧、消化、瞳孔の収縮、汗腺などは、自分の意識ではどうにもなりませんね。これらの意識上でコントロールできないものをうまく調節してバランスをとっているのが自律神経なんです。つまり、私達人間の生命維持活動には不可欠なもの、それが自律神経というわけです。

 

自律神経には、交感神経副交感神経があります。

 

交感神経はいわば“行動の神経”です。私達が日中活発に働いたり、動き回ったりできるのは、交感神経が優勢に機能しているからです。交感神経が働けば、心臓の拍動は増え、血圧は上昇し、瞳孔は開きます。

 

その反対に、副交感神経は、いわば“休息の神経”です。日が沈み夜になると、今度は副交感神経の出番になります。副交感神経が優勢に働いている時は、心臓の動きは弱くなり、血圧は下降し、瞳孔は収縮します。副交感神経のおかげで、私達はリラックスした気分で休息を取り睡眠に就けるのです。

 

このように、交感神経と副交感神経がバランスよく機能しているときは良いのですが、一旦この2つの神経がバランスを欠いたときには、心身に様々な変調をきたすことになります。このような心身の状態、症状を自律神経失調症と呼ぶのです。

 

では、何故交感神経と副交感神経のバランスが崩れるのか?その原因を探ってみましょう。

 

不規則な生活時間

 

古来人間は、日が昇れば起きて働き、日が沈めば眠りに就く、そんな自然のサイクルの中で生活を送っていました。それが現代の私達はどうでしょうか?社会システムの変容や労働時間の多様化とともに、私達の日常の生活時間も実に多種多様に様変わりしてきました。

 

今や深夜の1時2時に起きているのは何も特別なことではありませんし、夜間勤務の方のように昼夜が逆転した生活を送っている人も少なくありません。最近の調査でも現代人の睡眠時間は右肩下がりで短くなっていると報告されていますよね。このような不規則な生活時間が、私達の心身に及ぼす影響は実に計り知れないものがあるのです。

 

これは、知り合いの医師に聞いた話ですが、あるパニック障害を発症した患者さんに、直近の一月ほどの生活時間を尋ねたところ、毎晩帰宅するのが深夜の0時を過ぎ、寝るのは1時2時になることが多く、そして早朝に起床し仕事に出かけるという生活サイクルだったそうです。そこで医師がこの患者さんに勧めたのは、毎日遅くとも11時までには寝る事と、3食きちんと食事を摂り、規則正しい生活を送ることだったそうです。

 

この患者さんの場合、パニック障害発症後に仕事場の部署を移動したこともあり、医師のアドバイスどおりの生活を送ることが出来たそうですが、その結果、それから1年を経た現在に至るまで、一度もパニック発作を起こしていないとのこと。

 

もちろんパニック障害と自律神経失調症は別のものですが、医師のごく当たり前に見えるアドバイスが功を奏したことからもわかるように、いかに不規則な生活時間が私達の心身を蝕んでいるのかがよくわかる例示だと思います。

 

ストレス要因

 

現代社会はストレスの巣窟です。私たちは毎日大量のストレスを浴びて暮らしています。人間の体はストレスを感知すると、交感神経が優勢に働き出します。そしてストレスが長く続くと交感神経ばかりが機能し、副交感神経の出番が少なくなり、自律神経のバランスが崩れることになります。自律神経にとってストレスとは、最も厄介な大敵なのです。

 

そのストレスは外的要因内的要因の2つに分類できます。

 

異常気象による気候の変化は外的要因です。具体的には、真夏の猛烈な暑さや冬の厳しい寒さ、朝夕の急激な温度変化などもストレスとなります。また、厳しい労働環境による肉体的な酷使なども外的要因となります。ケガをしたり殴られたりといった直接的な肉体へのダメージも当然ストレスになりますし、意外なところでは病院で手術を受けることも大きなストレスになります。このように、人間の体にとって外部からのダメージは、すべてストレス要因となるのです。

 

内的要因は主に心理的なものです。将来への不安や葛藤、失敗や挫折、孤独や絶望感、失業や貧困、人間関係や男女間のトラブル、離婚や死別、肉親の死などは大きな内的ストレスとなります。また、転職、転居、就職、結婚、入学などの環境の変化も内的なストレス要因となるのです。

 

 

 

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