多汗症の症状には様々なものがあります。このページでは、多汗症の症状や実際の体験者の症例等から、分かり易く解説していきたいと思います。
多汗症の症状
多汗症の原因の項でも述べたように、汗は体温調節のために分泌されます。しかし、その体温調節の程度を超えて、汗が異常に出てしまう状態が多汗症なのです。
症状としては、額や首筋、背中、脇や手などに局所的に発症する場合と、全身に汗をかく、全身性多汗症の場合があります。額や手などから汗が出る場合は、ぽたぽたと滴り落ちて、常に発症部位が濡れた状態になります。また、全身の場合には、着衣や寝巻きなどがじわっと湿った状態になったり、酷い場合には汗が染み込んで体に張り付いた状態になることもあります。
次に症例を見ていきましょう。
A子さんの場合:
20代の始めまでは、特に汗かきというほどでもなかったそうですが、ある事情でそれまで勤務していた会社を退社し、新しい職場に移った時から、異様に汗が出ることを自覚したそうです。
特にA子さんは脇汗が酷く、デスクワークをしている時にも、脇がじっとりと汗でぬれているのがわかり、トイレに立つ折に、ハンカチで脇を拭いていたとのこと。
対処法として制汗スプレーを使っていたのですが、全く役に立たず、脇汗用のパッドを常時携帯して対応していたそうです。
自分では、職場が代わった事によるストレスが原因ではないかと推測しているそうですが、一時は手術も考えていたほど、気に病んでいたとのこと。
多汗症の原因のページにも書きましたが、昨今の多汗症に悩む方の原因の多くはストレスだと考えられています。この方の場合、新しい環境への順応がうまく行かずに、それが精神的な負担となったものと捉えることができますが、脇汗があまりに酷い場合には、原発性腋窩多汗症とも考えられるので、専門の病院を受診することも考慮した方が良いかと思います。
C男さんの場合:
思春期を過ぎた頃から、手汗を異常にかくようになり、常にタオル状のハンカチを何枚もかばんに入れていたそうです。
症状としては、手のひらがいつもジメッとした状態にあり、酷い時には手汗がぽたぽたと下に垂れ落ちるほどだったとのこと。
常に手に汗をかいているので、人と握手も出来ず、好きな女の子ができた時にも、手をつなぐことが出来ずにいつのまにか降られてしまったそうです。
手汗のせいで、人間関係にも不備をきたしており、日常生活にも支障が出るようになってきたので、一度皮膚科を受診して相談したそうですが、経済的負担がかかることから断念したそうです。
手汗など局所的に症状が現れる時は、精神性発汗の場合が多いです。日常生活にも支障が出る場合には、皮膚科でイオントフォレーシスという治療法を薦められる場合が多いのですが、長期の通院が必要な上、再発することも多い治療法です。
E子さんの場合:
子供の頃からの汗っかきだったそうで、朝起きるとパジャマが汗でじっとりしていたこともよくあったとのこと。
いつかは治るだろうと気楽に考えていたそうですが、大人になっても治まらず、これは何かの病気と考え病院で通常の検査を受けたそうですが、特に器質的な異常は見つからなかったそうです。
症状としては、ともかくどんな時でも常に汗をかいていて、大きなハンカチが手放せなかったとのこと。
人前に出るのも億劫になり、通常の社会生活を営むにも支障をきたすようになったため、専門の病院を受診、医者からは決定的な治療法は無いと言われているが、自分としてはカウンセリングか薬物療法に期待しているとのこと。
特に器質的に問題がない全身の多汗症を、原発性全身性多汗症と呼びます。なにやら大仰な病名ですが、精神的な要因、ホルモンバランスの乱れや体質的なものなど、様々な原因があります。症状としては、全身のいたるところから汗が出てくるので、局所性の多汗症に比べ、対策や治療が困難といわれており、現在のところ決定的な治療法はありません。